フィールドでハーフライフル160m安定射撃
今回は、遠射を当てる数学的な仕組みについてお話ししようかと思います。
遠射の極意(数学編)
フリーの場合、銃というのは基本的に「平行移動」します。もし正確に平行移動するとした場合、この時銃自体がたとえ10cmずれても、着弾点も10cmしかずれない計算になります。ブレが出やすいものの、ブレの影響を意外と受けにくいため、クレー射撃などで撃ち慣れていれば意外と100mぐらいまでなら委託しない方がよく当たったりします。
これを1点支持にすると、ブレ自体は多少抑えられるものの、ブレが「角度移動」になるので、距離が長くなるほど誤差が大きくなります。例えば支点から銃口までが50cmとした場合、銃口部が1mmずれると、100m先では20cmずれることになります。これはフリーの場合の200倍ずれることになります。なので、よくある1点支持の場合、理論的には当てるのが難しくなるので、近距離でも外すことが出てきます。
これが2点支持の場合は、1点目の部分で角度支持になったとしても、もう一点がその角度ブレ自体を抑える役割になります。よって、ブレが最小になるため、銃の性能を一番引き出せる支持の仕方となるわけです。
フィールドでの現実的な2点支持の方法
射撃場では、レストを使えば銃を前後で支持することが可能です。ですが、フィールドで2点支持というのはなかなか難しい問題になります。
一般的に言われるやり方としては、「伏せ打ち」になります。
これは、平地などであれば一番有効であり、銃の先台部を写真のようなバイポッドや砂袋、リュックサックなどで委託し、銃床部は肩につけ体全体を地球に委託しますから、ほぼ2点支持と同等の形になります。
ですが、北海道の猟期になると、雪が積もっているため、銃だけでなく体も雪に埋まってしまい、伏せれる場所があったとしても射撃自体できないことが多くあります。また、なんとか頭を出しスコープで獲物を捉えられたとしても、銃口に雪が被っていることがあり、雪を掠めることで弾道が逸れてしまい外してしまう、ということもまま起きます。
理想的なのは「背面支持」
これは昨年度の私の300mチャレンジの際の姿勢です。これは、雪の中に埋まっていて見えませんが、両足で背中、特に右側の肩を電柱に押し付けるように踏ん張り、銃の銃床側を支持しているわけです。
横から下半身が見えないぐらいに雪に埋まりますから、伏せ撃ちは不可能な場所というのもわかると思います。
この射撃法を図にするとこんな感じになります。
電柱や、一般的には立木などが委託先になると思いますが、フィールドではほとんどの場合1点しか支持できません。
その1点に左手を委託した場合、すると、1mmのブレが100m先で、着弾点のズレが20cmになってしまうことは上でお話しした通り(図の上側)ですが、銃床側を委託すると(図の下側)、支点から銃口までの距離を最大にできるため、これをおよそ1mと仮定すると、左手側を委託する時の半分、10cmまでズレを軽減できます。
つまり、1点しか支持できないのであれば、左手を委託するよりも銃床側、つまり背中や右肩を委託した方が、精度が2倍良くなるわけです。
ここでさらに、銃先台部分を三脚等で委託すると、完全な2点支持が出来上がりますから、精度は伏せ撃ちにも匹敵するようになります。
なので、フィールドでは、1点しか支持できないなら「背中・右肩」を優先的に支持することを考え、さらに余裕がありそうなら銃先台部分を三脚等で支える、という優先順位をもって射撃にに挑むと、的中率が格段に上がるわけです。
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