鴨撃ちの弾は何を使ったら良いか


北海道はいよいよ猟期が始まりました。

私も早速鴨撃ちに行ってきました。でも獲れた鴨はみんなあげてしまって、何故か鴨に紛れていたキジバトだけ大自然から頂いてきました。丸焼きにすると美味いのだとか。
さて、鴨撃ちをやるときに一つ頭を悩ませるのが弾。何号がいいのか、通常装弾か強装弾か。ここはなかなか悩みどころだと思います。
どのように選んだら良いのでしょうか。

鴨が落ちるメカニズム

まずは、弾がどのように作用した時鴨が落ちるのか、そのメカニズムから見ていきます。

頭に当たらないと落ちない

実は、鴨撃ちの場合、散弾が「頭」に当たっていないと、基本落ちません。
最たるものか羽根。羽根に当たっても、全て弾いてしまって、全くと言っていいほど効かないのです。
溜池などで居鳥を撃つとわかりますが、鴨の胴体をショットコロンの中心に入れてやっても、その後飛び立つ奴は普通にいますし、獲れても実際に肉に弾はほとんど入ってないんです。
また、真上に撃った場合の胸や尻も同様で、基本弾を弾いてしまい、BBやスラッグなどの粒のデカいものでも当たらない限り、出血してもほとんどの場合内臓や背骨までいたる事が無いのです。
これは四つ足を獲る時との大きな差と言っていいでしょう。

つまり、食べるところがなくなってしまうほどの重装弾でもない限り、頭に当たって脳か頚椎へのダメージを入れて初めて落ちるわけです。

鴨の頭はクレーの皿より小さいですが、横から見た時のサイズが大体くちばし〜頭と首の付け根ぐらいの大きさになり、ちょうどヒットすると一番カモが落ちやすい部分のサイズとなるわけです。

つまり鴨うちの練習をクレーでするなら、スキートで皿の「先頭」を鴨の「くちばし」に見立ててイメージしながら撃つと効果的なんです。


弾が効かないと落ちない

当然ですが弾丸が「効いて」くれないと当たっても意味がありません。弾丸の殺傷力は

殺傷力 = 「弾速」×「重さ」

    =「弾速」×(「粒の大きさ」×「ヒットする個数」)

で決まりますので、狙いが正確である前提であれば

・弾速が速いうちに

・なるべく大きな粒玉を

・たくさんヒットさせる(パターン


の3つが必要になるわけです。この時のこれらの関係性は、

・「弾速」は距離が伸びるほど遅くなる。

・「粒玉」は大きいほど「弾速減衰」に強いが「ヒット率」が下がる

という感じ。

感覚的には、少なくともクレーの皿を割る程度、できれば「粉砕」するような撃ち方をしなければならないわけです。また、殺傷力が強すぎると、その分肉が痛んで食べるところがなくなる、なんてことも起きます。要は「落ちる最小限の殺傷力」を狙うのが良いわけです。




弾の号数を選定する

では基本的なことがわかったところで弾の号数を見ていきましょう。


距離を決める

この時まずわかりやすいのが「距離」です。前記の通りクレーの皿が粉砕できるぐらいのエネルギーが必要なのであれば、トラップ射撃でも40mほどがせいぜいで、それ以上離れると当たっても割れませんよね。

鴨撃ちも同じで、距離最大が40mほどで、それ以上になると当っても基本落ちません。たまにものすごく遠い鳥を落としている動画などがyoutube等でありますが、それ以上離れたものを撃つには30インチ以上の銃身にスーパーフルチョークでもつけないと散弾ではまず効きませんから、銃が違うんですよね。

ちなみに猟場では「遠い鴨」がいるじゃないか、となるかもしれません。でも遠い時というのは「撃たない」という選択をすることで、最大40mまでと自分の撃つ距離を決めることができます。

そして、たまに0m、自分の足元にいたりもしますから、大雑把な距離は0〜40mとなります。すると、平均的な距離は(ちょっと強引ですが)約20mとなり、これはスキート射撃と同じになるわけです。

実際に私自身の経験上も、鴨撃ちは20m程度で撃つことが一番多いです。(というかここまで寄るようにしているのですが。。)


つまり鴨用散弾の号数を決めるには、この20mを基準にして、

1、20mならしっかり落とせる

2、40mあたりでもなんとか落とせる

ぐらいの弾と絞りがちょうど良いことになります。


弾速は遅い

狩猟装弾は基本的にクレー射撃用の装弾より弾速が遅いです。実際にはクレー用装弾の弾速が速くなっている、という方が正確で、クレー用装弾は近年粒の量が少なく(24g)なっており、その分「軽い」ことと、火薬量が少なくその分「燃焼が早い」ために、弾速が速くなっています。それに比べると、狩猟装弾はある程度「重い」ものをそれなりの距離飛ばすためにそこそこ火薬量も多くなって燃焼速度が低下するため、結果的に弾速に差が出るわけです。

体験してみるには、狩猟装弾とクレー用装弾をどちらも猟場で「真上のカモ」とか「水面のカモ」に対して撃ってみると簡単にわかります。引き金から着弾までが目で見てわかり、意外に狩猟装弾はゆっくり飛ぶことが体感できると思います。

カタログスペックでの比較では、初速がおよそ10〜15%違うとされますが、実際は2割近くの違いを感じるかと思います。


パターン(ヒット率)はどうか

狩猟装弾は弾速が遅いので、減速も早く、その分パターンの広がりも早くなります。そのため、トラップで使う7.5号でも、狩猟装弾となるとパターンが開きすぎて、40mだとキツくなってきます。7.5号なら、下手すると射撃装弾のほうが当てやすい、なんてことも聞きます。

よって、なるべくパターンが開かないようにチョークはなるべく絞って使う方が有利で、7.5号より粒玉が大きいものを選ぶことになります。

ですが、粒玉が大きいほどパターンの隙間が大きくなり、ヒット率が下がります。例えば1発玉だと、大体狙ったところには飛んでくれますがほんの2〜3cmずれたら外れますから、ヒット率は一番低くなるわけです。またBBなどだとパターンの隙間が大きすぎて「間をすり抜ける」ようなことも起きます。

私の経験上は、一番大きな弾で3号、小さな弾で5号ぐらいがパターンとしてはよく、ヒット率が高いと感じています。


私の実際の銃と号数、弾の量

私の銃は28インチの上下二連スポーティングなのですが、これでいくと40mでギリギリ落とそうと思うと、チョークをフル

5号 32g

が実際一番「軽い」弾になります。

これであれば20mで当てても肉がほとんど傷付かず、しっかり落とせます。

これより軽い7.5号だと35gの強装弾でも40mまで届かない、芯でヘッドを捉えても効きが甘くて落ちない、ということが出てきました。

これと3号32gも使うのですが、こちらはよく弾が効き落ちやすいけど肉に傷がつくことが少し増えてしまうので、ちょっとカモには強いかな、という感じ。遠いやつをどうしても撃ちたい時ぐらいであまり使いません。


銃スペックによる弾の変化(結論

狩猟用に使う銃はみなさんさまざまだと思いますので、それぞれに合わせてどのように考えたら良いかを書いてみます。


銃身長が30インチ以上:粒玉を一段小さくするか、粒玉を減らすか、チョークを少し開く

 →フルチョーク5号28gあたりを中心にして、1段ずつ変えてみて最適なものを選ぶ

銃身長が28インチ未満:粒玉を一段大きくするか、強装弾にする

 →フルチョーク3号35gあたりを中心にして、1段ずつ変えてみて最適なものを選ぶ



おすすめの弾差し


ベルトに直接つけておくことができ、10発入ります。また藪漕ぎ等しても落下しないので、安心して弾を持ち運べます。ただベルクロで蓋をするので、「ビリビリ」音でカモが逃げることも。ベルクロを剥がしてボタンやゴムなどで固定する改造が必要かも。

射撃の大学

射撃は半年間で8割あたるようになる!? 射撃は全て「同じ」ように撃つ事で効率良く上達し、全くの初心者から半年間で、散弾、ハーフライフルでの競技射撃、狩猟、その全ての射撃で8割以上あたるようになった著者。 銃の撃ち方の基本から練習法、クレー射撃(skeet、trap)、狩猟(エゾシカ、鴨など)のやり方などを忘備録的に書いています。

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