踵の話。
今日は射撃姿勢の中の「踵」(カカト)の話。
踵は、どれぐらいつけるのか、もしくは浮かせるのか。この辺りも例によって、だいぶ人によって様々な事が言われます。
これがなぜそうなのか、そして何が有利なのかについてみてみましょう。
踵を完全に浮かすとどうなるのか
完全に踵が浮いた状態は、やってみればわかりますが、恐ろしく反動で体が後ろに動きます。
それはなぜかと言うと、銃を構えている時はまだ反動がないですから、反動のない状態で体はバランスを取っている、ヤジロベーみたいな状態だからなんですね。
そして、踵を浮かした状態で反動があると、足の接点は小さいので、ヤジロベーの頭を突いた時のように、止めるものなく「倒れる」形で体が傾いてしまうんです。
極端に言えば、体が構えているそのままの形で、つま先を中心に後ろに回転するようなイメージで、しかもヤジロベーのように、バランスウエイトを持っていませんから、戻ってくるのも大変なんです。
かなり大きく重心が後ろにずれますから、まず倒れそうになる体を、一旦前荷重に戻してからでないと、次の引き金を引くと、後ろに倒れてしまうぐらいになるんです。
踵をベタ付けするとどうなるか
踵をベタ付けして撃つと、これもまた反動に弱くなります。
踵を浮かした場合は、つま先がヤジロベーの足先端のようになって反動が回転運動となるとなるわけですが、
踵がべったりついている時は、今度は踵をヤジロベーの足先端となり、体が後ろに回転しようとしてしまうわけです。
そしてさらに、踵をベタ付けした時点でそもそも後ろ荷重気味になっているので、つま先立ちよりさらに反動に弱く、油断すると一発で本当に後ろにひっくり返るぐらいに反動の影響を受けてしまいます。
踵は靴の中で少しだけ浮くぐらい説
これは、私がスキート日本一の方から教わった話でもあるのですが、その人の表現では「靴の踵は地面につけたままで、靴の中でだけうっすら踵を浮かす」という表現をしていました。
これは、踵を1mmぐらい浮かすように立つ事で、自然と前荷重をかけやすくなり、反動があった時、その1mm分だけ体が動くようにするんだなと理解しました。
銃の反動は衝撃荷重で一瞬なので、1mm分だけ動く事で荷重を相殺し、1mm移動した段階で踵でつっかえさせて動きを止めてしまう、というような感じの仕組み。
踵は「すぐ付ける」ぐらいでうっすらと浮かすぐらいで撃ってみると、据銃時のバランスも取りやすく、かなり反動にも強くなるのが体感できると思います。
この1mmというのはもっと小さくても大丈夫で、小さいほど体の移動量が少なくなります。
これがどれくらい小さくできるかは人によりますが、つま先を中心に肩の高さで銃の反動がかかるので、てこの原理が働きます。
よって、身長が低い方が有利で、次に体重が重い方が有利となります。
まとめ
踵は、浮かすか付けるかの二択のように考えがちですが、極端にやってみると両方ともどんなデメリットがあるかよくわかると思います。
そして、「うっすらとだけ浮かす」事で、この両者のデメリットは解消できる上に、バランスも取りやすくなります。
二の矢が遅い人、苦手な人は、是非試してみてください。
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