ライフリングと反動(銃自体の射撃精度)

この画像、どこかのサイトから拝借したのですが、どこかわからないので、もしご存知の方はご一報ください。


さて、ライフリングと反動の話、といってもピンとこないかもしれません。

銃は反動があるものだし、ライフリングと反動というのは関係ないんじゃないか?というのが一般論だと思います。

ただ、ライフルというのは、実は銃を大きく動かす反動が起きる時には、弾丸はすでに銃口を飛び出したあとなんです。

つまり、大きな反動というのは、その命中精度には「一切関係がない」わけです。
これがわかると、ライフル等の射撃の上達に一役買う事でしょう。

反動は高圧ガスが一方向に抜けるから発生する


反動というのはそもそも何なのでしょう。私も初めは、「弾頭」を動かすエネルギーの反作用として銃が後ろに動くものだ、と考えていました。

ただ、ライフルの弾頭の動きを10万fpsぐらいの超スロー動画などで見るとわかりますが、実際に反動で銃が動くのは弾丸が銃口から出た後なんですね。

その間、ほとんど銃は動きません。

ライフリングに噛み込んだ弾丸は、高圧ガスに押されてジワジワと加速していき、十分に加速したところで銃口を出ます。

ここまでの間というのは、弾丸が動くエネルギーは反作用があり、銃を後ろに押すチカラが働きますが、弾丸はライフリングがひっかかっているので、その引っかかり分だけ銃を前に押すチカラがかかるので、ほとんど「均衡」しています。

だからこの時点ではすごく小さな反動しか生まれないのです。

そして、
銃口から弾丸が出た後、高圧ガスが一気に銃口から一方向に向けて放出されます。この瞬間、いわばロケットのジェットのように銃を勢いよく押し下げてくるわけです。これが、肩に「どん」とかかる反動です。

つまり厳密に言えば、これは弾を送り出す「反動」ではなく、余ったガスの「ジェット運動」なんですね。


「大きな反動」と「小さな反動」


そして、弾が銃口から出た後であれば、銃がどれだけ動いても弾に影響はありませんから、結果としてジェットエンジンのような「大きな反動」というのは、命中精度に「一切関係がない」といってしまえるわけです。

影響があるのは、銃口から弾が出る前。ここまでの間に銃がブレると、銃が構えている方向とズレるため、着弾点がブレるわけです。

つまり、命中率を上げるために重要なのは、この「小さな反動」の方であって、これらを如何に無効化するか、が決め手になる、と言えるわけです。

ここで起きる「反動」は、
1.撃針を落とすための動きの反動
2.爆発による振動
3.ガスが漏れることによる先走りジェット
この3つになります。



撃針を動かす機械的な動きの反動を抑制する方法


これは殆どの場合まず、「空撃ち」する時にでる「カチッ」という音の分の動きと、いわゆる「ガク引き」のような、人が力むことによって発生するズレの事。

このズレは、単純に「空撃ち」をした時にどの程度スコープがズレるかを見ればわかるので、空撃ち練習がよく効きます。

空撃ちした時に、スコープが「ぐっ」と動くようなら、明らかにガクビキしていますし、「ピクッ」と動くようなら、機関部等のガタが大きくなりすぎていたり、そもそも機関部等が精密射撃に向かない設計になっている可能性が高いと言えます。

爆発による振動の抑制方法


これは実際銃に依存する、と言っていいでしょう。冒頭の写真のように薬室が薬莢と弾丸に「ピタッ」と密着するような状態であれば、無駄な振動がそもそも起きません。

そして、無駄な振動が少なければ、爆発時の振動はほとんど銃の「重量」によって消失しますので、薬室の精度と銃の重量がこの部分にとって非常に重要になるという事です。

ガスが漏れる事による反動の抑制


例えばスラッグ弾や散弾は、ライフリングが無いので、ライフルに比べると明らかに大量のガス漏れを起こします。
弾丸が銃口から出るずっと前、下手すると、雷管を叩いた直後ぐらいからガスが前方に漏れますから、弾が銃身に入る前に一度ジェット運動が生まれ反動が発生します。

これはハーフライフルも同じで、サボットスラッグがショットシェルのフチを引き伸ばしている間にもガスが漏れますし、ショットシェルから出てしばらくはライフリングにサボットが噛みませんから、その間ガスは漏れ続けます。

ここまでの間に出る「ジェット運動」は、銃を後ろに動かそうとします。

この時、「綺麗に真っ直ぐ」後ろに引く事が出来るようなら、この反動の影響を最小限にできるわけです。

これは、シンプルに「大きな反動」があった時、銃がブレずに真っ直ぐ下がるような構え方をしていると、この小さな反動にも対応できるという事です。

この確認法としては、「撃った弾が見える」というのが大事で、大きな反動がかかった瞬間に銃がブレるとスコープに弾は映りませんが、真っ直ぐ下がるときっちり飛んでいく弾を見れます。

自分の打った弾が見えるようになると、狙っていたところに着弾するようになるわけです。

まとめ


つまり、「ライフリング」というのは、弾丸に回転を与える役割だけでなく、高圧ガスを「(ほとんど)逃がさない」役割があり、これは「小さな反動」を最小限に抑えてくれる役割がある、という事が出来るわけです。

そして、小さな反動は、銃の重みと正しい構えによって反動を「真後ろ」に綺麗に逃す事によって、発射した弾丸をスコープで目視できるようになり、狙ったところに弾丸を送り込めるようになる、という事です。

射撃の大学

射撃は半年間で8割あたるようになる!? 射撃は全て「同じ」ように撃つ事で効率良く上達し、全くの初心者から半年間で、散弾、ハーフライフルでの競技射撃、狩猟、その全ての射撃で8割以上あたるようになった著者。 銃の撃ち方の基本から練習法、クレー射撃(skeet、trap)、狩猟(エゾシカ、鴨など)のやり方などを忘備録的に書いています。

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