トラップの重心の取り方

さて、今回は重心の話。2回目です。

前回は、重心全般の話でしたが、今回は「トラップ」での「左右のバランス」についての話をメインに話してみたいと思います。


トラップは「左」に傾きやすい

トラップは「左足荷重、左足に体重を乗せる」なんて言われ方をします。
これは結果的に間違いにはならないのですが、トラップビギナーの成長を遠回りさせてしまっている一つの原因になっています。

試しに「銃を持たずに直立」したまま、左足にだけ体重を乗せてみてください。
そうなんです。明らかに体は「左に傾く」んですよね。

では、この「左に傾いた姿勢」のまま、横スイングと同じように腰を真横に回転させてみるとどうなるでしょう?

そう、当然体の傾き分だけ「斜めに回転」しますよね。

これは銃を持っていてもいなくても、前傾をとっていてもいなくても、結局のところ同じ事が起きるわけです。

つまり、「左足に体重を乗せる」というのは、初めから横回転の軸を左に傾けているのとおなじ。だから、「横のスイングが必ず斜めに動く」のが「確定」している状態なわけです。

ちなみに、上手い人でも「両足をくっつけて」撃ってる人が居ます。これはこの重心の観点から見ると、「左足一本」で立っているような状態にして、無理矢理軸の傾きを減らしてはいると言えます。

片足で立てばバランスは悪く動きにくいのは当然なので、やはり「不利」である事は否めません。

この姿勢は、上手い人には多いけどトップシューターにはほとんど居ないのは、この辺りの理由からだ、と見る事ができます。



トラップのセットポジションは「無理な姿勢」と知る


そもそも銃というのは体を直立のまま構えると「斜め上」を向くように出来ています。
そして、上を向けば向くほど、反動は足に抜けますから制御がしやすく、一番安定する姿勢は、「銃を真上に構える」のと同じ姿勢で90度回転した「伏せ撃ち」の姿勢になります。

ですが、トラップのセットポジションは、立射姿勢のまま銃を水平以下まで下げます。つまり、「銃を撃ちづらい一番不安定な姿勢」がセットポジションなわけです。

だから、「すごい違和感」がある方が正解で、間違っても「自然体になるはずがない」んですね。

そして、射撃が自然体になるのはあくまでも「発砲の瞬間」であって、反動がかかった時にバランスがとれるようにしなければなりません。

この事からも、「構え」の時は非常に「不自然」で、他のスポーツ等の経験があればあるほど、「違和感があるもの」である事をまず知っておく事が大事になります。


まず銃を持たず「直立姿勢」から足場を決める

重心をまずフラットにするために、銃を靴の爪先などに置いて、「気をつけ」の姿勢で足を肩幅に広げます。この時顔も体に合わせ、完全に「直立」を作ります。

こうすることで両足に均等に体重が乗りますから、しっかりと両足をべったり地面につけて、左右均等に体重を乗せれば、簡単に「下半身の安定」するカタチを作ってやることが出来ます。

上30度から構える

次に、上30度で構える事で、「肩から上の安定」を作ります。

先程の「直立姿勢」のままで、上30度から銃を差し込んでくるように構える事で、捻れ、傾きのない状態で肩付、頬付を正しく出来ます。

この時銃の分だけ重心が射撃前方にズレますが、下半身は「動かない」ことで安定形を維持させられます。

この時に「重心が動く」事で初めの「違和感」があります。この時体は反射的に腰を後ろに引いたり膝が曲げたり、背骨を捻ったりしようとします。

ここで「違和感」に負けずに「動かない」事が肝要になります。

水平近くから体が左に傾く

次に縦のスイングで銃を下ろして行くわけですが、この時にどんどん「重心が射撃前方に移動」します。

この時、鏡の前などで非常にゆっくり銃を下げてみるとわかりますが、水平付近まで下げたあたりから、「体は左に傾く」のがわかると思います。

この姿勢は「不自然」なので、「不自然な現象」が起きるのが正解なんですね。

逆に言うと、銃を水平より下げた時にも体が傾かないなら、「別の何処かがズレている」と考えた方が良いので、「フラットな姿勢」からやり直してください。

足の指で地面を握る


ここで体が左に傾いてきたら、「足の指で地面を握る」ようにしてみてください。この時、左に傾いた体が勝手に中央に戻るのがわかると思います。

その理由は、少し複雑です。

ここで重心が「射撃前方」に8割傾くとすると、前方にあるのは「左足」なので、体重の8割が左足にかかりますから、当然重心は大幅に左に寄ってしまいます。

そしてこの時、一番左側になる左足の踵には、体重の約40%が乗っていて、一番右側になる右足の小指側の爪先には、約5%しか乗りません。

このウエイトバランスの悪さで、体全体のバランスが大幅に左によってしまうわけです。

これが「自然」であり、また撃ちづらい動きづらい最大の原因になるわけですね。

この時、足で「地面を握る」ようにすると、画像にある「爪先立ち」に近いウエイトバランスになり、

左足の親指側の爪先に荷重が集まるので、自然に寄ってきたウエイトバランスを「押し返す」ような効果が出てきます。

そして、右足も「しっかりと荷重を分担する」効果が出るので、結果として左右のウエイトバランスを中央に戻して支える事が出来るわけです。


変なクセがあると違和感がない


逆に、この「地面を握る」ようにしない限り、必ずウエイトバランスは「左にズレる」ので、足を閉じるか膝を深く曲げるかしない限り、横のスイングの軸は必ず斜めになりますので、「左にズレない」と感じているなら、やはりどこかでバランスを取ってしまって変な癖がついていると言う事になるわけです。

このままだと他の射撃はおろか、トラップも伸び悩みますから、一度見直してみると良いかもしれません。

射撃の大学

射撃は半年間で8割あたるようになる!? 射撃は全て「同じ」ように撃つ事で効率良く上達し、全くの初心者から半年間で、散弾、ハーフライフルでの競技射撃、狩猟、その全ての射撃で8割以上あたるようになった著者。 銃の撃ち方の基本から練習法、クレー射撃(skeet、trap)、狩猟(エゾシカ、鴨など)のやり方などを忘備録的に書いています。

0コメント

  • 1000 / 1000